のり板へのつまみ片の並べ方、意外と質問が多いので書いてみます。
あくまでも生徒を観察していて思った個人的な感想です。
まず。
自分自身は師匠に「手前から奥、右から左」と習いました。
(作るものによって少し変わったりしますが。)
しかし、古い職人の中でも左からいく方もいますし、片方から行って一段上がって折り返しで並べる方も見たことがあります。
しかし、現在ある一定の生徒には手前から奥、そして「左から右」と教えることがあります。
(自分は相変わらず右から左でやってますが)
それは何故か?
ずっと生徒を見ていて色々と試してもらった後、左から右で並べさせたほうが何故かほとんどの人でうまくいくことに気づいたのです。
例外はいますが極少人数でした。
なぜだろう??自分は逆だと教わったのに??
本当のところはわからないのだけど、おそらく利き目の問題なのかなぁ?と思っています。
手と一緒で目にも利き目がありますよね。
右利きで利き目が右は日本人の70パーセント以上を占めるらしいです。
普段あまり意識はしないですが、上記に当てはまる人がものを見る際は利き目の右目で見ながら左目で補助をしているといった状況でしょうか。
手と一緒で利き目の方がやっぱり器用みたい。
特に中期経験者に関してヒアリングしたところ、右目を使って一つ前に置いたつまみ片の右側面を見ながら左目で新しく置くつまみ片を確認するクロスの視線をとると距離感がつかみやすいらしい。
逆に左目で左から並べたつまみ片の左側面を見ながら右目で新しく置くつまみ片を確認するのはきついらしいのです。
そういう人には左から右で並べてもらい、「左前で少し斜になってみて」と少し身体を斜にさせてみると見違える様に上手くアクションがとれることが多々ありました。
(この載せ方の場合、身体とのり板の位置は順に変わっていきます。)
以上は生徒自身にヒアリングしてわかったことです。
自分は右利きですが左が利き目なので正直実感として全くわからないのです。
実際合理的で早いのはクロスの動作が生じない右から左だと思います。
でも何故か今まで教えた方は左から右の方が上手くいく人の割合が高いのです。
利き目に頼りすぎると身体の中心軸がずれることがあるので、ある時は左からある時は右から等変えていくのも良いのかしら。
まぁ。ごちゃごちゃ言いましたがみんな自分がやりやすい方でやればいいだけの話ですね(笑)
視線に関してもう一つ。
生徒を観察していて良くアドバイスさせていただくことがあります。
それは、円形の葺きの際、視線を今から載せるピンセット上の一片に集中し過ぎないでね、ということです。
手元の一片に集中すると丸くなりづらい。これは生真面目な方に多い現象です。
視線はあくまでも全体を見ながら。特に重点があるとしたらそれは中心点です。
中心点を視線の中に常に捉えていれば自然と形は円形に整います。
手前ばかりを見過ぎないこと。ちょっと違いますが昔流行った浮きだす3Dの絵を見るときの様な感じです。(「表面じゃなくて奥を見ろ」と教わりました)
枚数の間隔をとりづらい場合に対角線に葺いていく方がいますが、そういう方は今から載せる一片ではなく対角線上の一片と中心点の方を見ると上手く形がとれます。
後は、身体の軸がずれていなければ失敗することは少ないはずです。
摘み細工は指先で行う細かい工芸ですが、まずは視野を広げる、そして身体全体&軸を意識してみると手の中だけで悪戦苦闘していたのがうそのようにスムーズなアクションがとれるはずです。
自身も未熟ゆえ、少しさぼると露骨に軸がずれます。。
武芸に通じるものがある様に思います。
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